Androidの「端末を探す」機能の通知。映画ではサードパーティのアプリが登場したが、実際はOSベンダ謹製が安全だと思う。
しかし、「特定されました」とはなんとも怖いな...
注意:ネタバレがあるかもしれません
はじめに
新作映画「スマホを落としただけなのに」を見た。個人の感想としては、「良いが、悪い映画」というイメージだ。 僕はインターネットとかITには一般の人よりも詳しいと思う。まあそういう立場の人間の感想です。
感想
概観
- 最近不祥事ばかりのFacebookライクSNSが主戦場。本名でインターネットをする世界で、この映画の対象層が僕らのような匿名で 意味不明なことをぼやくツイ廃でないことは明らか。
- それ故登場する携帯画面は、記憶違いがなければすべてiPhoneのもの。悲しいなぁ。
- 最新のiPhoneは6ケタパスコード推奨なのに全員4ケタ
- というか登場人物の大半のIT知識はゼロ
良い点
- ITに詳しい人でも楽しめたし、詳しい人は誰が犯人かわかりやすくなっていて楽しめる。バックボーンの知識があると言動の怪しい人がすぐ浮かんでくるぞ!そういうポイントを後から解説したりはしないので、分かる人だけに当たられたメッセージであると言える。
- 逆に疎くてもサスペンスとして楽しめる。
- アンチウイルスソフトに頼らないシナリオ、むしろ敵視している節すらあるように見える。某悪徳マルウェア配信Appleに垢バン企業のこともあるし、 スマホ向けアンチウイルスソフトはあまり役に立たないことを示しているのは正しいと思う。
- 犯人はとてつもないITスキルを持っているが、LINEは乗っ取らない。メールとFacebookは乗っ取れるのに。これはLINEが端末が手元にないと外部端末からログインできないという仕様を反映している。これはLINEのセキュリティ向上の成果だし、正しい描写かな...と。(まあそのせいで使いにくいんですけど)
- 犯人のITスキルは恐ろしいが、「海外のサーバーを複数経由」した通信からIPを割られる。映画の都合上仕方ないが、このぐらいの人なら完全匿名でTor使えるでしょ。というツッコミもある。0なんとかがああ捕まえられるしかなかったみたいに。
- わりとPC画面とかはしっかりしてる印象。音声解析のシーンでFFTのあれがでてきたのは驚いた。
- 特定の大半はソーシャルエンジニアリングという事実をちゃんと描写している。ハッカーは何でもできる映画ではない。
- 一応ハッピーエンド。捉え方によっては違うかもしれないが。
- 伏線回収に秀でていてはっとさせられることが多い。
- 最後の演出が秀逸。映画館の椅子そのものでしょあれ。
悪い点
- 劇中のITに強い人がすべて「気持ち悪い人」として描写される。正義サイド含めて、皆心の闇を抱えていたり、変なオタクとされたり、強姦魔とされたりしてる。この映画もそういうレガシ的ステレオタイプの延長線上にあるのは悲しいことだ。
- 中にはシングルマザーで児童虐待されたみたいな人も出てくる。弁護士唐澤貴洋弁護士もよく言うが、IT犯罪者=愛を十分に受けていない人みたいな印象操作はシングルマザー家庭やIT技術者に大変失礼だからやめたほうがいい。
- 神奈川県警が警察として登場。神奈川県警サイバー犯罪対策課は映画でしか活躍できないのだろうか。でもこれ結果的には警察叩かれそう。すでにかなり人死んでるし。
- ヒロインのあの設定が必要なのか謎。最後には?って話しされても...。しかも明らかな犯罪行為なのになんの罪も受けない。
- まあ、スマホやSNS、名前にしろ、自分を識別するものは自分の本質ではないと言いたいのかな?
思うこと
スマホ落としたら「端末を探す」からロックをかけようね!