かもブログ

かもかも(@kam0_2)の雑記。掃き溜め。備忘録。

「JR東の痴漢通報アプリがネットのおもちゃになる」という妄想

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いらすとや「写真を送りつける痴漢のイラスト」

JR東日本では、事業を通じて社会的な課題の解決に取り組むため ESG 経営を実践し ています。
・社会的な課題の一つである痴漢問題の解決に向けて、国立情報学研究所新井紀子教授をはじめ、有識者の方々から有益なご意見をいただきながら、お客さまが列車内で痴漢行為を受けた際に、スマートフォンの専用アプリにより車掌へ通報するシステムの検討を進めてきました。
・このたび、このシステムの効果等を検証するため、列車内で実証実験を行います。
・海外から来られるお客さまも含めて、より安全で安心な鉄道を目指してまいりますので、お客さまのご理解・ご協力をお願いします。
JR東日本公式プレスリリースより引用

JR東日本は痴漢対策のために、痴漢をスマホから通報できるアプリを開発した。

 埼京線での実証実験を経た後に、採用されるか否かを含めて検討されるのであろう。報道によると、アプリをインストールした埼京線の乗客が、乗車時に列車の進行方向と、自分の乗っている号車、号車内の位置(前より、真ん中、後ろより)を選ぶ。もし、乗車中に痴漢にあった場合は、アプリから、「車掌に知らせて、注意放送をしてもらう。」「付近の人のアプリに通知を送る」といったコマンドを送信できるようだ。
 このニュースに関しての、僕の見た限りのネットの反応は2つ、まずは肯定的意見。これに関しては申し分ない。痴漢には1オングストロームも同情できないし、埼京線沿線民としても、埼京線が痴漢の代名詞となっている現状は許しがたい。そして、2つ目は「痴漢冤罪ガー」という"痴漢"の文字を見ると叫んでしまうアホといったところである。
 しかし僕はどちらでもなかった。僕はこのニュースを見た刹那、「JR東の痴漢通報アプリがネットのおもちゃになる」という妄想を始めたのである。本記事はそんなアホの妄想である。

虚偽通報という遊び

 ネット上の悪い遊びといえば なんだろうか。僕は「爆破予告」「代引き送りつけ」「ラジコン派遣」の3つであると考えている。ここでは後半の2つの話はせず、「爆破予告」の話がしたい。爆破予告、あるいは殺害予告、まとめて犯罪予告と呼ぶことにしよう。これはもはやネットの風物詩である。これら犯罪予告の大半は実行されない。(予告.inを見れば明らかである)僕の学校も爆弾を114,514個仕掛けられたらしいが、残念なことに爆発することはなかった。
 犯罪予告の対極にある存在に、「虚偽通報」という遊びもある。私はよく知らないのだが、愛知県岩倉市のある男性は24時間に1027回もの通報を警察に対して行い偽計業務妨害で逮捕されたらしい。こうなってくると"イタヅラ"なのか"ガチ"なのか見分けがつかないが、悪い遊びの一つとして虚偽通報というものが存在するのは、オオカミ少年という概念がはるか昔から存在することからも明らかだろう。
 爆破予告と虚偽通報は対極だが行為そのものは非常に似ている。唯一の違いは通報は電話でないとできないことである。ネットの遊びとして虚偽通報は行うことは難しい。電話を使えばネットでないし、虚偽通報をすれば愛知県岩倉市の男性のように逮捕されてしまうだろう。電話では簡単に足がついてしまう。それに電話では人と話さなくてはいけない。そんなわけで虚偽通報という遊びはハイリスク・ハイリターンの遊びであり、健常人には参戦が難しい。

 そんな虚偽通報界隈に舞い降りた期待の新星が、「JRの痴漢通報アプリ」である。このアプリを使えば、満員の埼京線内で痴漢が起きたことにできる。痴漢が起きたと思わせて乗っている乗客に恐怖を煽れるかもしれないし、虚偽にも関わらず犯人を探し出そうと奮闘する愚かなサラリーマンが現れるかもしれない。何よりも、埼京線の満員電車というのはだいたい1200人以上がすし詰めになっている。ボタン1つで1200人に感情の変化を与えられる。SNSに投稿する人もいるだろう。"その手の怪物"には「非常に魅力的」である。それでもって、ただのアプリとなれば足は付きづらい。身元が割れるとしても、JR東日本に対する偽計業務妨害は成立するかもしれないが、果たして重い罪に問えるだろうか。もっともこの仮定は無意味である。インターネットから身元を割るためには法的な手続きを要する。虚偽通報かどうかは身元を割らないとわからない。つまり、あからさまに虚偽通報とわからなければ、絶対に捕まらない。もはや、ノーリスク・ハイリターンの遊びである。楽しくないはずがない。ここで断りを入れますが筆者は本気でそんなことを思っていると思っていますか?それは間違いです。

技術的対策の困難さ

 しかし、天下のSuicaシステムを作り上げたJR東日本がそんな誤りをするだろうか。しかし、技術的に虚偽通報を止めることは難しいだろう。

利用者がその電車に乗っているか調べられるのか

 アプリ利用者がその電車に本当に乗っているか調べられれば虚偽通報を防げるかもしれない。列車内には防犯カメラもあるそうだし、通報後に停車した駅で、通報者から話を聞くこともできる。これは技術的に可能だろうか。

 方法の1つにGPSが挙げられる。説明するまでもないが、利用者の位置情報を得ることができる。GPSの位置情報を偽装することは難しい。もし偽装できていたらポケモンGOは不正行為で溢れているだろう。偽装の難しさはポケモンGOが保証するとして、利用者の位置情報と列車の走行位置を照合すれば簡単にできそうに見える。そだろうか。まずはじめに、電車の走行位置をJRが知らないはずがないだろう。問題はそれを一般向けに提供できるようなシステムを構築できるのかということになる。JR東日本アプリでは列車の走行位置がわかるが、それはどの駅とどの駅の間にいるか程度しか開示されない。列車の運行システムは安全のために簡単には機能を追加できないはずで、どうなんだろうかと僕は思う。しかし、これができたとしても問題がある。列車は走っていることである。列車と利用者の位置はみるみる動いていく。この状況で正確に2つの情報を照合できるだろうか。ためしに電車に乗っているときにGoogleマップを開いてみてほしい。最後に言及するなら、痴漢通報というプライバシーの求められるアプリでGPSをガチガチに使うのだろうか。
 仮にGPSで照合できたとしても、電車の高架の下の駐車場で待ち伏せするなどすれば、障害を容易に突破することができる。この手のものはすべていたちごっこになる。アプリができることはスマホができることがせいぜいであり、こういう争いは悪いほうが勝つのが人類の歴史であると思う。

 そもそも、そんなシステムが開発できているのならば、公開されたユーザインターフェースが、列車の進行方向を指定させているのはナンセンスである。というわけで、僕の中では、利用者が電車に乗っていることを確認する機能はつまれていないと踏んでいる。つまれていても抜け道はかならずある。

予防的措置は可能か

 治安は、罪を犯すとブタ箱にぶち込まれるという仕組みがあってはじめて維持される。警察のない国では、破られない金庫を開発するよりも、警察を導入したほうが資産を守れるだろう。このアプリでもそういう事が可能だろうか。
 例えば、使用前に住所や電話番号、氏名を入力させてはどうか。利用者が気軽に始めづらくなるという欠点があるものの、悪い使い方をした利用者をすぐに警察に通報できるだろう。そうだろうか、これは前述した身元を割る話と同じである。ある痴漢通報が虚偽であったかどうかを判断することはできないのである。そもそものこのアプリの導入目的は、「アプリを使ってもらうことで、通報する怖さや恥ずかしさなど被害者の心理的なハードルを下げる。(毎日新聞)」ことである。通報をした人に直接ヒアリングをアプリ経由で申し込めたとしても、それを拒否した人にJRや警察は強引にアタッチできるだろうか。あからさまに虚偽通報でなければ、絶対に捕まらないし、絶対に質問攻めされることもないし、警察沙汰にもならないのである。その点で、予防的措置として個人情報の入力を求めるのはデメリットしかない。
 このように、どんな手段を持ってしても虚偽通報というおもちゃになることは避けられないような気がする。

ネットのおもちゃと化す埼京線

 ネットには、"痴漢"という言葉を聞くと騒ぎ出す愚かな人々が溢れている。彼らにとって、痴漢通報アプリは格好のおもちゃである。暇つぶしに痴漢を通報するのが流行りそうだ。号車は女性専用車両を指定するのを忘れないようにしよう。ネットは「#痴漢放送」とか「#痴漢通報」だとかのタグで溢れ、満員電車は笑顔に包まれる。痴漢は増えなければ減りもしない。そういう未来が僕の妄想である。

参考記事

www.asahi.com mainichi.jp

追記履歴

2020/02/06 誤字脱字訂正。内容の変更なし。